短編小説 魔道書

第2話 春のポカポカな日の召喚

久々に昼間に散歩をした。 色とりどりの風景。 どれにも色がついている。 そんなものを見れる幸せを浸っていた。

小学校の前を通りすぎる。 学生時代のあの頃を思い出す。 あの甘酸っぱい気持ちを誰かに伝えたくて、 でも人だと伝えるのが恥かしいから、春のポカポカな日を召喚した。


「久々に思い出したくて、あなたを召喚したんだ。」

『そうだったの。 どうしてそう思ったの。』

「ある人が、以前いじめられていたって告白したの。 その言葉で全てのことが蘇ったの。 いじめられてことも、そんな人の話を聞いて支えていたことも。 その反面、そんな偽善者みたいなことをしていたことがばれたのかとも思った。 そんな話をされて驚いた。」

『そうよ。 でもそれってそうした方がいいと思ってたんでしょ。 誰かが助けて欲しいと言っているなら、助けるのが普通のことだと思うよ。 助けない方が傲慢じゃない。』

「確かにそうだね。 助けられるのが普通だと思っていて、他の人を助けないって、嫌な気持ちになるよね。 でも、その時、 春の風を感じた。 私もそんな時代があったんだなって。」

『日常に追われて忘れているだろうけど、自由の時があった。 誰にも縛られずに、自分の力で考えて行動していた時期があるのよ。』

「サクラのように、ただいるだけで影響される人になりたいって思った。 咲いているだけで、感動してしまうような。」

『そうなりたいと思っていることは、いつか実現できるものよ』


※この作品はフィクションです。実在の人物、団体とは関係ありません。

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あとがき

春のポカポカな日がなかなか感じられない、今日この頃。 そんな記憶を思い出すために、書いた作品。

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